不動産投資で確定申告は必要?書類準備や節税のポイントも解説

不動産投資で確定申告は必要?書類準備や節税のポイントも解説

不動産投資をおこなう際には、確定申告を適切に済ませることが欠かせません。
必要な書類を準備し、節税方法を事前に理解しておくことで手続きがスムーズになります。
また、正確な確定申告をおこなうことで、節税効果や資金管理の効率を高められるでしょう。
そこで今回は、不動産投資における確定申告の基本や、ポイントについて解説します。

不動産投資における確定申告とはなにか

不動産投資における確定申告とはなにか

不動産投資をおこなう際、確定申告は避けて通れない重要な手続きです。
とくに初めて投資を始める方にとって、確定申告の必要性や流れを理解することは、税務管理と投資の成果に大きく関わります。
以下では、その必要性と手順を解説します。

確定申告の必要性

不動産投資で得られる収入は、「不動産所得」に分類されます。
家賃収入や更新料、返還不要な敷金・保証金などが総収入金額に含まれ、固定資産税や損害保険料、減価償却費、修繕費などが必要経費として認められます。
こうした不動産所得が一定の金額を超える場合、確定申告が必要です。
たとえば、給与所得者が副業として不動産投資をおこない、不動産所得が年間20万円を超えると、申告義務が生じます。
また、不動産所得が赤字の場合でも、他の所得と損益通算をおこなうことで節税効果を期待できるため、確定申告をおこなうメリットがあります。
そのため、給与所得がある人でも、物件数が増えたり、家賃収入が変動したりする場合は毎年の所得額を正しく把握し、申告の要・不要を確認しておくことが重要です。
また、副業として不動産投資を始めた直後は、初期費用や経費が比較的多くなるケースもあり、所得の赤字計上が見込まれる場合には損益通算の適用を検討することで税負担の軽減を図れます。
とくに初年度は銀行へのローン返済や保険料の支払いが集中しやすいため、必要経費に算入できる項目を見落とさないよう注意する必要があります。

確定申告の手続きの流れ

確定申告の手続きは、主に以下のステップで進めます。
1.必要書類の準備
不動産所得を証明する契約書や家賃の入金がわかる通帳のコピー、経費に関連する領収書などを整理します。
日頃から書類をきちんと保管しておくことで、申告時の作業が容易になります。
2.申告書類の作成
白色申告の場合は収支内訳書、青色申告の場合は青色申告決算書を作成します。
収入や経費の内訳、減価償却費の計算などを正確に記載するため、日々の帳簿管理が重要です。
青色申告を選択すると、正規の簿記に基づいた帳簿作成が求められるものの、最大65万円の控除を受けられる可能性があり、節税効果が大きい点も見逃せません。
さらに、日々の収入や支出を家賃管理ソフトや会計ソフトで記録しておくと、決算書作成の手間を大幅に省けます。
3.確定申告書の提出
作成した書類を所轄の税務署に提出します。
提出方法は、持参、郵送、電子申告(eTax)のいずれかを選択できます。
提出期限は毎年2月16日から3月15日までなので、期限内の手続きを守りましょう。
4.納税または還付手続き
申告の結果、納税が必要な場合は期限内に納付をおこないます。
還付が受けられる場合は、所定の手続きに従って還付金を受け取ります。
納税が遅れると、延滞税が発生する可能性があるため注意が必要です。
確定申告を円滑に進めるには、帳簿や領収書を日頃から整えておくことが大切です。
また、税制は改正されることがあるため、最新の情報を収集し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

不動産投資における確定申告をする際の必要書類

不動産投資における確定申告をする際の必要書類

不動産投資をおこなう際に重要な確定申告では、書類を正確に準備することが不可欠です。
以下では、「経費」「控除」「源泉徴収票」の観点から必要な書類を解説します。

経費に関する書類

不動産投資で計上できる主な経費と、それぞれに関連する書類は以下の通りです。
固定資産税や都市計画税は、納税通知書や領収書を保管します。
修繕費は、工事内容や金額がわかる領収書や請求書を用意します。
管理費などの費用も、管理委託契約書や領収書が必要です。
こうした書類があると、正当な経費として認められやすくなります。
物件の維持管理に伴う光熱費や清掃費、広告掲載費なども条件を満たせば経費として認められる場合があります。
このとき、それぞれの費用が不動産投資に直接関連することを示す書類を保存しておけば、申告時に根拠を提示しやすくなるでしょう。
領収書には日付や支払い先、内容が明示されていることが大切で、複数の物件を所有している場合は物件ごとにまとめる工夫も必要です。

控除に関する書類

控除は、課税所得を減らすことで税負担を軽減する制度です。
不動産投資と関連のある主な控除には、生命保険料控除や地震保険料控除が挙げられます。
保険会社から送付される控除証明書を受け取ったら、確定申告時に添付できるよう保管しておきましょう。
また、医療費控除を利用する際は、医療費の領収書や明細書を整理し、明細書の提出を忘れないようにします。
住宅ローン控除を活用できる場合は、金融機関から交付される残高証明書の提出が必要になります。
この控除は居住用の住宅が対象ですが、自宅と投資物件を混同しないよう管理を分けておくとスムーズです。

源泉徴収票

会社員や公務員として給与所得がある方は、年末に勤務先から源泉徴収票が発行されます。
ここには、給与所得や源泉徴収された所得税額などが記載され、不動産所得と合算して申告する際に必要です。
年末調整後に配布されるため、受け取ったら必ず保管し、確定申告時に提出しましょう。
源泉徴収票には年末調整の結果が反映されているため、医療費控除や保険料控除などを二重で申告しないよう注意しましょう。

不動産投資の確定申告時に節税できる方法について

不動産投資の確定申告時に節税できる方法について

不動産投資では、確定申告の段階で適切な節税対策を講じることで、収益性を高めることができます。
代表的な方法として、「減価償却費」と「損益通算」が挙げられます。

減価償却費

減価償却費は、建物や設備などの固定資産の取得費用を、耐用年数に応じて毎年経費として計上する制度です。
実際の支出を伴わずに課税所得を減らせるため、大きな節税効果が期待できます。
たとえば、耐用年数内であれば毎年一定額を経費に計上できます。
中古物件を購入した場合、残存耐用年数が短いと早期に減価償却をおこなえるケースもあります。
ただし、減価償却費を多く計上すると売却時に譲渡所得税が増える可能性があるため、計画的に活用することが大切です。
建物だけでなく付属設備や外構なども個別に償却資産として計上できる場合があり、正確に区分することで節税効果を高められます。
一方で、古い物件だからといって必ずしも残存耐用年数を短くできるわけではないため、国税庁が定める耐用年数表に従う必要があります。

損益通算

損益通算は、不動産所得の赤字を給与所得などの他の所得と相殺することで、課税対象となる総所得金額を減らす制度です。
具体的には、給与所得がありつつ不動産所得がマイナスの場合、その分だけ総所得を下げられます。
結果的に所得税や住民税を軽減できるため、赤字が生じたときは積極的に活用する価値があります。
ただし、土地取得にかかる借入金の利子や別荘などの特殊な物件の場合、損益通算が認められないケースもあるので注意してください。
さらに、社会保険料や各種手当の金額に影響が出ることもあるため、総合的な視点で判断することが重要です。
また、赤字を繰り越して翌年度以降の所得と相殺できる繰越控除を利用するためには、青色申告による正しい帳簿付けと確定申告が連続して行われていることが条件となります。

まとめ

不動産投資における確定申告は、収支を正確に把握し、資産管理をおこなううえで欠かせない手続きです。
必要な書類や節税方法を理解して効率的に申告を進めることで、税負担を軽減できます。
適切に対応すれば、長期的な資産形成と収益性の向上につながるでしょう。